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関ブロ東京大会・都図研中央大会盛会裏に終了

 DSCF0113.JPG11月8日 関ブロ東京大会1日目は文京学院大学を会場に、午前中は関東甲信越静地区の都県代表者会議がおこなわれ、各地区の造形教育の現状報告や情報交換がおこなわれた。今回の指導要領の改訂では、図工、美術の時数削減が懸念されたが、かろうじて現状が維持されることに安堵はするものの、造形教育の現状が好転しているとは言えず、関ブロ各都県が今後も結束して造形教育の必然性を広く社会に発信していく方策として「関ブロ会報」を発行し、各地区の緊密な連携をさらに深めることを確認した。(会報は都図研HPで閲覧可)
 午後の全体会は、基調提案・小中学校からの研究発表・大会宣言承認のあと、文科省奥村高明氏の指導講評では、新指導要領の改訂に言及し、「生きる力」を育む理念は変わらないが。手立ては変わる。今回、学校教育法30条2項で学力の定義として、「1.基礎的な知識技能を修得する 2.それを活用した思考力判断力表現力育成 3.学習意欲」が示された。学習意欲は学力か?の問いに、学力だと定義した。言い換えれば、これらの力を身につけるために各教科の学習がある、ということを法律として条文化したということだ。従来の指導に見られる、与えられた条件だけで問題を解かせるのではなく、多様な条件の中から必要な情報を見つけ出す。習得させました、さあやりなさいではなく、習得したことを授業の中で充分活用させた上で、個々の探求に向かわせることが重要。子どもがどんな力を使って活動しているのかを掴まなければ、学習指導や改善はできない。その意味で今大会テーマ「人間形成としての造形美術教育」や研究発表などに、図工や美術からではなく人間から考えていこうという姿勢がうかがえ、たいへん感銘を受けたと語った。
指導要領改訂に関する中教審の審議のまとめが各校に配布されたと思う。熟読してほしい。

都図研中央大会

晴天にめぐまれ参加者800余名


 SANY0165.JPG今年の都図研大会は関ブロとの共催で、関ブロ2日目の各校種別研究発表小学校分科会として位置づけられていた。とはいえ例年の都図研大会同様、ブロック主体の企画・運営の形で進められており、千代田・文京・中央・台東4区の学校数69校という、都図研では最小のブロックでの大会運営には並々ならぬ苦労があったと思う。大会が盛会裏に終了したことを祝し、その労苦に敬意を表したい。
 会場の文京区青柳小学校では全クラス11学級で公開授業が行われた。併設幼稚園と1年生との連携授業や都図研研究局の授業も2クラスあり、「他者との相互行為、相互作用による意味生成の連続」「身体を通して生きること・学ぶことを生成する」という研究の骨子に沿った授業が展開された。
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透明のトンネルで、互いの手と手を合わせながら光のカケラをくっつける。
1年生と幼稚園児のコラボレーション。

粉絵の具とのりを混ぜた感触や、色味を楽しんで、思いついたことを絵にする。
都図研研究局の授業。1年生

つくりたい!が生まれる材料との出会い。材料に触発され、触れる・結ぶ・繋ぐなど子どもの活動
の変容を見る。 2年生

見慣れた色画用紙でも、子どもの思いが特別なものにつくり変えていく。2年生

和紙を染料で染め、校庭に張ったスズランテープに干して、光に透ける色や並べ方を楽しむ。
晴れてよかった。  3年生

箱の中のハッピーな世界。自分の思いをつめこんだハッピーボックスを、
みて見て!タイムで友だちに紹介。 3年生

他校の児童と手紙で交信。そして、依頼されたお願いを作品にして届ける夢工場、
ドリーム・ファクトリー。  4年生

いろんな土を集めたらいろんな色がある。ふるいでこした土パウダーをニカワと混ぜて…
晴れてよかった。5年生

暗い部屋でいろんなものに光を当てると…材料と光の効果を楽しんで、広げた思いを発表し合う。5年生

体を動かし、心に浮かんだ線を絵の具などで和紙に描いて、目でみる・体で見る・心でみる、そして表現に向き合ってみる。都図研研究局と6年生

下から照らした光で輝くペットボトル。切ったり曲げたりくっつけたり、
光の変化を存分に楽しむ。  6年生

都図研中央大会・がんばれ!図工の時間!!フォーラム共催シンポジウム


 午後の全体会でのシンポジウムは「がんばれ!図工の時間!!フォーラム」の原島博(東大教授)・藤幡正樹(芸大教授)・苅宿俊文(大東文化大教授)と、土佐信道(明和電機社長)・辻政博(都図研会長)諸氏をシンポジストに迎え、コーディネーターは横内克之(都図研参与)氏。
 はじめに横内氏がシンポジウムのテーマ「はみだす ときめき」の設定理由を、今年3月24日に「がんばれ!図工の時間!!−未来の科学技術のためにー」と銘打ったシンポジウムが東大工学部を会場に開催された。このとき挨拶に立たれた芸大学長の宮田亮平氏が「感性は(制度の)枠からはみだすときめきを味わうこと」と述べられたことが元になっている。と説明し、各シンポジストに話を振っていく。

原島   

 東大電子情報工学の研究者が、都図研の大会に参加していること自体が、もしかしたら「はみだして」いるのかもしれないが、むしろ今は「ときめいて」いる。はみ出すということは、普
段はなにかの枠にはめられていること。社会が教授の顔や優等生の顔を要求する。それが自分の顔だと思ってしまうことが怖い。もっと多様な顔があるんじゃないか。自分を変えることで見えてくるものがあるのも確かだが、はみだすことを勧めるだけでなく、はみださないものも認めてほしい。「はみ出す」が普通になってはいないだろうか。

藤幡

 原島さんや僕の共通するところは「素材に触れる」というところだが、それに対して子どもたちがどうリアクションしていくのかという部分で、理科や数学や図工というのは密接な関係があると思っている。今の学生を見ていると、自発的に何かをしようというより、何かを教えてもらおうとする態度が強い。そんなこともあって原島さんや苅宿さんに「図工の応援団」をつくろうと話を持ちかけた。全ての子どもが自分と世界との違和感を感じる時があると思う。それがいじめになったりするのだろうが、学校の中のマイナス面を、図工の時間が解消する大きな力を持っていると感じている。

苅宿

 「はみだす」というのは自分の中に規範があって、自分でははみだしたと思っても、ほかの人から見ればそうでもないなんてこともある。原島先生の話じゃないけど、学校の先生の顔というのがあると思うが、図工の先生の顔って違うんだろうなあ。それは、いい意味で図工の先生は、はみだしているんじゃないかということ。「はみだす」ことで新しいことが見えることを知っている図工の先生が、学校にいることの価値を感じるが、「はみださない」ときめきもある。

土佐

 幼稚園の時から芸術家になろうと思っていたが、あるとき自分の内的世界にあるものが外にないことに気づき、それをどうやって見せようかを考えた時、芸術家の格好で見せるのではなく
電気屋の格好で見せようと思った。みんなの意識からはみださないようにと考えた電気屋のスタイルが、実際は世間からはみだしていた。はみだすためには常識が必要。子どもたちの作品を見てると、パッションな表現が多い。ドヒャーという表現もあるがピシーという表現もあるだろう。あともうひとつ、図工の先生の言葉がわからない。芸術と等価な言葉をみつけていく態度。図工が世の中にわかってもらえないのは、それがないのが原因じゃないかな。

 秩序を植えつけていくという教員にはなりたくなかったが、はみ出し切れずに図工の教員になって、大人の概念からはみだしている子どもたちを見て、それを楽しんでいたら今に至ってしまった。学校の世界はある特定の価値を抽出して示していくが、排除すべきものも含めて丸ごと抱え込んでいけるのが図工じゃないかなと思う。

記念講演

「コミュニケーションをつくる」

CMディレクター 中島信也

 SANY0046.JPGクリックすると拡大します CMディレクターとして、この世界ではたいへん著名な方。日清カップヌードル「Hungry!」や、サントリーDAKARAの小便小僧シリーズなど、何か気になるCMを多数手がけている。こう言ってはなんだが、関ブロの都県代表者が参加者の大半を占める全体会の記念講演には、いささかもったいない気がしていた。しかし、記念講演が始まるころには、うわさを聞きつけた図工美術関係者や会場の文京学院大学の学生も集まりだし、中島氏の軽妙な語り口と、さすが!のプレゼンテーションに、予定された時間はあっという間に過ぎていった。CMがつくられていく過程を、オンエアーされた作品も交えながら語るスタイルで、CMができるまでにかかわる「たくさんの係」何をつくるのか考える係(プランナー)、つくるながれを考える係(プロデューサー)、つくるなかみを考える係(ディレクター)などを示して、実際の企画書や絵コンテも提示しながら、CMが視聴者に届くまでを解説。中島氏の係であるディレクション部門にも演出・撮影・照明・録音・美術・メイク・衣装・編集などの係があり、たくさんの係をまとめながら1本のCMを作る上でコミュニケーションがいかに重要であるかがわかる。相手の気持ちをあれこれ考える「心」のはたらき、つまり創造力ではなく想像力。コミュニケーションができないのは「想像力」の欠如だと語る。「想像力」は磨かれるものだ。大切に扱われなかった人は、人を大切に扱えない。少ない言葉で多くを語るCMディレクター中島信也氏であった。

Series
「子どもと図工を考える」Vol.12

図工の「先輩」について考える

加藤貴子
(江戸川区立清新第三小学校)
Seriesのコーナーにまとめました。