とずけんどっとこむ

2,3月号

1年を振り返って 〜時代の変化のなかで〜

東京都図画工作研究会 会長  辻 政博

 s_tuji_1.gif 1年は、長くて短いというのは本当です。今年はそれを実感しました。教育や社会は、激しい変化を迎えています。?「改正教育基本法」の成立?「教育再生会議」に見られる新保守主義的、新自由主義的な社会状況の広がり(競争原理の導入、成果主義、経済原則の優位、階層格差の広がり、目にみえる学力の重視・・・)?教師の世代の入れ替わりなど、社会構造の変化がはっきりと顕在化してきています。 
 また、都図研の活動は、現場の図工教師の熱意にささえられて実にさまざまな活動をこの1年おこなってきました。特に本年は、さまざまな変化に対応する意味で、「特別委員会」を設け、現場の力を結集し『子ども主義宣言』を発刊できたことは、すばらしいことだと考えます。その他、北多摩大会、研修、研究、事業関係、上部団体の活動、外部団体との連携etc・・・実にさまざまな質の高い活動を精一杯こなしています。 
 来年度は、新指導要領の告示の年度です。変化する時代のなかで、私たちはこれからも、子どもを基軸にした活動をすすめていきましょう。

子ども主義宣言

子どもたちのリアルと図工の時間

特別委員会委員長 高橋 香苗

 高橋先生のコピー.jpg「子ども主義宣言」がようやく本になりました。2006年の1年間に、多くの図工教育にかかわる方々が考え実践し考察したことを、形あるものにできてほっと安堵しています。
 都図研の実践や歴史のアーカイブ、また次世代を担う若い先生方の実践的な参加という2つの異なる立場を、どのようにすれば1つの価値あるものにまとめられるのか。私にとっては必死に考え続け、文を書き、右往左往し、試行錯誤を続けた長い長い日々でした。 
 子ども主義宣言の本.jpgこの本は、図工という教科と、図工する子どもたちと、そこに立ち会う私たち図工教師の姿を、現時点で切り取ってみせたドキュメントでもあります。また、茂木健一郎氏・谷川俊太郎氏・北川フラム氏・野中真理子氏に語っていただき、図工と子どもについての新たな眼差しを得たように思います。鈴石弘之先生、内野務先生、鷲尾礼子先生のインタビューは図工教師としての哲学や生き方を振り返る契機となりました。
 この本をつくるために、全原稿を数度にわたって熟読した私自身こそ、この本からもっとも大きな糧を得た幸運な者ではなかったでしょうか。この本が一つのきっかけとなり、リアルな現実を生きる子どもとともに新たな模索が始まるならば、望外の幸せです。

「子ども主義宣言」は3月中旬刊行予定!

 入手方法については、3月理事研究会で配布される資料を参照。

関連イベントとして
・出版記念Party (5月理事研究会後)
・「子ども主義宣言」展覧会を、ギャラリーTOMで7月に開催予定。

information

「がんばれ!図工の時間」

 「がんばれ!図工の時間」と銘打つシンポジウムが、3月24日(土)午後1時から東京大学工学部で開催される。
 都図研主催ではないが、「現場からの報告」を辻会長が講演。工学部1階ピロティなどに都図研からの児童作品も展示する。東大で図工?
 詳細は理事会資料参照!

Series「子どもと図工を考える」Vol.7

「材料」について考える(インタビュー)

tokitou.jpg調布: 布田小 時任 勝 (聞き手:中尾公治)

seriesのコーナーにまとめました。

1月号

都図研北多摩大会を終えて

大会運営委員長 徳永 和弘

tokunaga_0605.gif 大会の振り返りは報告書をご覧いただくこととして、何より大会に参加いただいた皆さんにあらためてお礼が言いたい。「みんな、よくきてくれた!ありがとう。」 
 北多摩は天気に恵まれないというスカタンなジンクスがあり、前日準備に降り出した雨に「今年もか!」と、思いきや当日は12月とは思えないほどの暖かさで、そんな天候にも後押しされ、予想をはるかに超す参加者(900名超)に恵まれました。若松小学校と府中市美術館の2会場、午前午後の授業公開というウルトラCの運営でしたが、ベテラン、若手が一緒になっての研究に大会の意義をしみじみ感じています。今でも事務局に今後の大会について問い合わせがあるそうです。大会を終え、今の気分は・・・やっと終わった?いえ、これからです。

北多摩大会でみた美術館との取り組み

文)広報局責任編集者 中尾 公治

s_nakao.gif 府中市美術館と学校との連携は、美術館開設の準備段階から始まっていた。開設2年目(2002年)から、市立の全小学校を対象に鑑賞教室を実施している。ほかにも数々の企画を、図工・美術教員と美術館側が共同で展開する活動が続いている。今大会でもこの府中市美術館を会場に、3つの授業があった。3年生は数人のグループごとにボランティアガイドの方がつき、野外彫刻や常設展の鑑賞をおこなった。ガイドの方の示唆や要求が、やや高度かな?と思う場面もあった。4年生は市民ギャラリーでの作品制作と展示。美術館の展示室という空間や、自分で展示するという非日常を体験できたこと、参観者とのコミュニケーションなど大会ならではの授業だ。6年生は企画展「府中市ビエンナーレ」出展作家との交流。事前に出展作家について受けたレクチャーから思いを馳せ、それぞれに制作した作品を持って、作家と交流すると言う授業だ。分科会でも「作家の生の声を聞ける刺激的な授業」「大変興味深い試み」などの感想が出ていた。しかし何より「作家が子どもを表現者として尊重していた」ことが子どもに伝わり、緊張しながらも真剣に作家と対話する姿は感動的であった。どの授業も、美術館側の理解と協力がなければ成り立たない。ここまでの関係をつくり上げた北多摩図工部と府中市美術館に羨望と敬意を表したい。

Series「子どもと図工を考える」Vol.6

子どもの「鑑賞(みる)」について考える
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墨田:堤小 南 育子
seriesのコーナーにまとめました。

11,12月号

全国造形連盟研究大会長野大会report

フェスタ12.JPG 11月1日から3日まで開催された第59回全国造形連盟研究大会長野大会は、おだやかな天候に恵まれ、盛会のうちに3日間の会期を終了した。主催者側は、参加申し込みがあった人数程度の対応を考えていたようで、申し込みをしていない参加者が次々に受付に殺到し、対応におおわらわの状態で幕をあけた。1日から3日まで、都図研が関わった会議・研修など時間を追ってレポートする。

関ブロ都県代表者会議

代表者会議3.jpg 午前10時からの関ブロ都県代表者会議がおこなわれたのは、長野オリンピックの際に各国の代表が会合を開いた特別会議室。総会議事のあとの各都県の情報交換の中で、中学、高校の美術教員が激減しているとの報告が、新潟県や埼玉県からだされた。これに反して神奈川県では美術の採用が増えているとの報告もあった。今大会の「大会宣言」の中に「図画工作・美術・工芸の学習時間の保障と美術・工芸の専任教諭の配置を強く要望します」という一文も含まれており、来賓として出席した鈴石前都図研会長の「大会宣言は参加者配布に留まらず、文科省および関係各部署にも送付すべき」という意見が承認された。 
 冨安全造連委員長は、教員養成大学で、美術の実技を履修しなくても教育課程を修了することができる現実を述べ、実技ができない教員が教職に就くことに危惧を感じるとも語る。美術教育の厳しい現状を改めて感じさせられた。

全国小学校図画工作教育連盟

小学校分科会

全小図連シンポ2.jpg 午後1時からの小学校分科会は、全小図連の総会から始まった。総会の議事のあと全小図連総会としては初めての試みであるシンポジウムが設定された。『われわれは、どこから来て、どこへ行くのか。そして、いま何をなすべきか』という壮大なテーマで、前文科省視学官 板良敷氏・前都図研会長 鈴石氏・現都図研会長 辻氏を講師にしてのシンポジウム。進行は前都図研理事長の横内氏。中央のスクリーンには伝説の岩波映画「絵を描く子どもたち」の1シーンが投影されている。: 戦後の美術教育を考える上で「創造美育」の運動と「造形遊び」の出現が極めて重要であった。子どもを数学的思考で見るようになって来ている昨今、子どもの人間性を見つめ子どもが主体であることの原点に立ち戻ろう、と語る辻氏や鈴石氏。対して、美術で働く能力は子どもの成長のなかに不断にある。美術と教育を対立的にすることが問題。美術の教育は何を残したか、子どもの実現状況をわかりやすく説明する責任がある。という論点から板良敷氏が切りこむ。子どもの身体性や表現を重視するひとつの観点と、それを評価する側としての教師、さらに美術教育のあり方へと論議が進み、学校という「檻(幻想)」を取り外すと、散在する[教師]と[子ども]がいる。教科セクト主義に固執せず、共にAさんのことを考える気

テーマ別分科会

 2時からのテーマ別分科会では、都図研会員が2つの分科会で提案などをおこなった。会場が分散したため、分科会資料からの抜粋での紹介にとどめる。詳細を知りたい方は各提案者に問い合わせていただきたい。

3分科会 
テーマ:学校を生き生きさせる

 子どもをとりまく地域や学校環境と図工の関わりを、校内での作品展示や学校行事との連携などの実践報告にからめて、他教科や行事との連携の構造を明確にすることで、造形的な学び・創造する喜びを味わわせたい。 
 しかし、行事や他教科との連携の手段として扱われないよう、図工の目標・造形的なねらいを見失ってはいけない、と提案した。

6分科会 
テーマ:生涯学習としての造形美術活動と連携の試み

 「国立西洋美術館・国立近代美術館と都図研研究局による鑑賞研修のとりくみ」で、昨年度の全造横浜大会での「鑑賞夢トーク」。 
 今年度の取り組み「視線の行方を追いかけて」「ギャラリートーク」(西洋美術館での鑑賞授業)の実践報告を基に、互いに事情が異なる美術館と学校の連携による、子ども主体の鑑賞教育の可能性と今後の課題を提案。

大会2日目

 大会2日目は、各校種ごとの公開授業。小学校は三本柳小学校と松代小学校に会場が分かれた。松代小学校で3年生が1クラス、三本柳小学校で2年、3年、6年各1クラスの合計4つの公開授業だけだった。会場校全クラス図工という形が当然と思う者にとっては、いささか拍子抜け。これが長野県の現実ということか。

三本松小学校

2年 『ならべてつないでつんでみよう』

2年8.jpg  2年9.jpg
 『ならべてつないでつんでみよう』は、流木や石などの素材をもとにした造形活動。子どもの身長より大きな流木など、抵抗が大きいのでは、と危惧したが、子どもの顔が最も輝いていた授業であった。授業が終って、作品まで片づけてしまった時には、参観者の頭上に!!や??が飛び交っていた。

3年  『絵本の国へさあ行くぞ』

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 『絵本の国へさあ行くぞ』 事前に筆や刷毛、ローラーなどでA4の紙に絵の具を塗って作った、たくさんの自分の色紙。その色や模様を利用して、コラージュで絵本を作ろうという授業。指導者にエリック・カールの思いが強いのか、要求がやや高度な印象を受けた。参観者の目もあって、子どもの動きは硬い。ハサミだけで切っていたことも気になった。

6年 『心をとどけよう〜木のぬくもりを生かした玩具』
6年5.jpg 6年2.jpg

 『心をとどけよう〜木のぬくもりを生かした玩具』は、日常の1年生との交流活動から、1年生とのかかわりを深める木工作題材(1年生が喜ぶ玩具)として、教師が設定したようだ。ベルトサンダーまで使って精度の高い作業をしていたが、自分のものにならない不条理感があるのか、子どもの顔に輝きが感じられなかった。

(中尾)

松代小学校

3年 『みんなあつまれ、文武学校あかりのまつり』

『みんなあつまれ、文武学校あかりのまつり』古い古い建物の中。子どもたちは薄暗いそれぞれの場所で、小さなあかり(LED)を生かした不思議な生き物を、いろんな材料を選んで作る。松代藩文武学校は、1853年建立の文化財。造形活動をおこなう環境としてはユニークな試み。

Series「子どもと図工を考える」

図工の「教師」について考える

suzuisi_zz2.jpg市民の芸術活動推進委員会 代表 鈴石 弘之
「Series」のページにまとめました。

長野キッズ造形フェスタ

 市民参加型造形イベントで、今年7回目。児童生徒の造形活動や作品展示を行い、造形の楽しさを市民と共有する目的で、長野県美術教育研究会長野支部が主催する。

 快晴の青空の下、善光寺に隣接する城山公園で、様々な造形活動が行 われました。竹・木・土・石といった自然材を使ったものから、風・水 といったものまで素材として活動を 展開。指導者は専門家である信州大学教育学部の学生から、地元の中学生や地域の方々など幅広い人材を募ってのイベントで、参加した子どもたちは、青空にとけ込んでいくシャボン玉づくりで風と遊んだり、アルミ缶を熔かして作品をつくったり…。広々とした空間で、のびのびと造形活動を楽しんでいました。(平井)

都図研北多摩大会 参加者 904名

2006年12月15日

 前日からの雨も明け方には上がった。会場の若松小学校と府中市美術館での19の公開授業も滞りなくおこなわれ、第45回都図研北多摩大会が盛会裏に終了した。今大会は府中市美術館の全面協力を得て、開催中の企画展「府中ビエンナーレ」出品作家とのコラボレーションなど、美術館と学校の連携や、鑑賞授業の新たな試みなども発表された。大会の詳細は[北多摩大会ニュース]で報告される予定。

全造連委員長 冨安 敬二氏 退任

永関 和雄氏 就任

 4年間にわたって全造連委員長として活躍された立教大学教授の冨安敬二氏が長野大会を最後に退任された。委員長の後任は、稲城市立稲城第五中学校長の永関和雄氏。永関氏は多摩美術大学卒で、前八王子市指導室長。

編集後記

広報局責任編集者 中尾 公治 

s_nakao.gif 全造連長野大会は、小学校の公開授業が2校で4つ、という寂しいものであった。図工専科がどっさりいる東京とは「研究」の環境が異なるのだろうし、現場は今、図工どころではない状況だろう。
 三本柳小学校の2年生が、流木や石などで造形活動をした。その「造形」は授業の最後に片付けられ、何事もなかったような日常の風景にもどった。870名、29クラスの学校で、安全性を考えればそうせざるを得ないのだろうが、子どもが熱中したアトを、客観的に眺めることができる設定(場・計画)に配慮してほしかった。「豊な感性を育む図画工作のありかた」三本柳小学校の研究テーマである。われわれは、いったい何を研究しているのだろう。[中尾]

10月号

 全国造形教育連盟(略称:全造連)と関東甲信越静地区造形教育連合(略称:関ブロ)長野県美術教育研究会の共催で、11月1日から3日まで長野県長野市で造形教育研究大会が開催される。今年度の造形美術教育の研究大会としては、全国で最大規模の大会である。1日のテーマ別分科会では、2つの分科会で、都図研からの提案もあり、パネルディスカッションには鈴石前会長もパネラーとして登壇する。2日目は幼稚園から高校・養護学校で14の公開授業。全体会記念講演では、安曇野ちひろ美術館館長 松本 猛氏の講演。3日目には「ながのキッズ造形フェスタ」が開催される。

全造連・関ブロ長野大会にぜひお集まりください

全国造形教育連盟 会長  冨安 敬二

 今年も全造連全国大会が11月1日から3日間、長野市で開催されます。「私っていいな!!いろ・かたち 生きあい 学びあい」というテーマで、講演、分科会、シンポジウム、そして公開授業などとどれも魅力たっぷりなものです。昨今は構造改革や規制緩和などの影響のため、勝ち組、負け組といった二極化が進み、子どもたちから見ても将来に不安のある状況だと思います。またゆとり教育が時間的な拘束を生み、少ない時間の中で効率をはかるといった傾向も出て、数値化やすぐに教育効果がはかりにくい芸術教科にとって厳しい環境となってきています。このような時こそ現場の先生の実践の紹介や、校種を越えた情報の交換、また研究者からの造形教育理念構築の提案など、活発な活動が期待されますので、ぜひそのような場に参加してくださるよう切に期待致します。

「子どもと図工を考える」Vol.4

図工の「カリキュラム」について考える

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品川:三日野小 内野 務

seriesのコーナーにまとめました。

編集後記

広報局責任編集者 中尾 公治

s_nakao.gif 全国規模の研究大会を開催することは、その開催担当地区にとって大変な時間と労力が費やされる。地方には都図研のように巨大な専科集団が存在しないこともあり、造形美術教育の研究者が少ないという現実もある。しかしそれが、企画・運営力や人的な問題を超える造形美術教育に対する「熱意」を持って開催されていることは間違いない。都図研会員の圧倒的な参加でその「熱意」に応えたい。

8,9月号

充実した夏季研修

 北川フラム氏は、今年7月23日から9月10日までの50日間、新潟県越後妻有(えちごつまり)地区で開催された「大地の芸術祭」越後妻有アートトリエンナーレの総合ディレクターであり、都図研ともここ数年来親交を深めてきた。このシンポジウムが実現したきっかけは「子ども主義宣言」冊子のインタビュー依頼に、辻会長・柴崎 裕 前副会長はじめ数名が、北川フラム氏を訪れたことに端を発していた。その席で北川氏から「トリエンナーレに何らかの形で都図研が参加できないか。」との提案があり、そこから予想もしなかった展開が始まった。夏休み直前に、トリエンナーレ出品作家と、都内の小学生とのコラボレーション授業が実施されたのもそのひとつであった。

北川フラム&都図研 シンポジウム

シンポジウムテーマ:美術・地域・教育・再生

 8月4日 都図研越後妻有トリエンナーレ鑑賞及びシンポジウム参加ツアーは、伊藤 貴光氏のしきりによって大型観光バスを貸し切り、51名がシンポジウム会場の新潟県十日町市松之山 三省地区コミュニティー施設にのりこんだ。ここは、廃校になった三省小学校を、食堂や宿泊設備を含む施設に改装したもの。休む間もなく、シンポジウム会場になる体育館いっぱいに、持ち込んだ児童作品を展示し、シンポジウムが始まった。このツアーに家族で参加した会員もあり、都図研としても20年ぶりの団体ツアーで、充実したとても楽しい研修会となった。

アーティスト&こども コラボレーション授業

Echigo-Tumari Art Triennial 2006 越後妻有 アート トリエンナーレ

 今回の越後妻有トリエンナーレで、海外から日本に来て作品を制作・発表した作家は、40数カ国57名にのぼった。出品作家の多くが、7月の中旬に東京都内に滞在することもあり、6月初旬から来日する作家との調整を行い、最終的に3名の作家が都内の3つの小学校で子どもたちとコラボレーション授業等を展開した様子を、当日のレポートから抜粋した。

ワークショップ1

7月13日 
品川区立立会小学校 
作家:ナリ・ワード(ジャマイカ)
4年児童
図工専科:中村隆介 

 木片の表に自分の名前、裏には、すでに亡くなっている大切な人や生物などの名前を書いたものと、好きなこと・好きなものを描いた絵を、玄関ホールに張った針金に交互に展示する。「公共の場の意味を変質させ、死を身近に、真剣に考える機会になれば」と作家は言う。 
 一連のワークを終え、造形的な意味だけではなく、精神的な意味空間の創出を児童は強く感じ取ったようだ。

ワークショップ2

7月14日
豊島区立豊成小学校
作家:アン・グラハム(オーストラリア)
6年児童
図工専科:堀口あや子 

 自分や家族、家や部屋、好きな場所や好きなものの写真やドローイングをもとにポートレートブックを作る試み。ブックとはいえ、日本の折り紙を思わせるような意匠は、グラハム女史が教鞭をとるニューカッスル大学美術学部の、日本人留学生の着想によるものだったそうだ。数人のグループに分かれた子どもたちの作業を、夫君のトニー・ボンド氏(ニューサウスウエールズ美術館長)もお手伝いされていた。

交流会

7月18日
豊島区立巣鴨小学校
作家:ムスタズ・ナスル(エジプト)
5年児童
図工専科:庖刀由利子 

 ワークショップを予定していた直前に、作家の父君が亡くなられ、来日が延期。「私以外の誰も代わってワークショップをおこなうことは出来ない」の返事。急遽、作家の指示で集めた古雑誌の写真を使って、庖刀先生がコラージュの授業を行うことになった。「子どもたちに会いたい」との作家の要請で、18日昼休みの時間を使って、作品を作ったクラス児童との交流会がもたれ、有意義な時間がすごせた。

都図研&美術館合同研修

 研究局が国立近代美術館・国立西洋美術館と合同で鑑賞教育の研究を始めて今年で4年目を迎える。回を重ねるごとに内容が多様化し、今年は参加者の間口を少し広げるかたちで、8月28日(月)西洋美術館を会場に開催された。今回のテーマは「子どもを育む鑑賞を考える」。 
 午前中は、都図研研究局員と役員、台東区図工部員、美術館関係者、学芸大学からの参加者など54名が、マリオット・ディ・ナルド《ステパノ伝》とアルベール・グレーズ《収穫物の脱穀》を2グループに分かれて鑑賞ギャラリートーク体験・意見交換などを行った。午後には、台東区金竜小5年生17名が、やはり2グループにわかれ、グループは柴崎裕氏+辻会長が「フツーのオジサン」を装って子どもたちと、ダーフィット・テニールス《聖アントニウスの誘惑》アルベール・グレーズ《収穫物の脱穀》をもとにギャラリートークを展開。グループは、酒井学芸員と、ロダン《美しかりしオーミエール》モネ《睡蓮》マリオット・ディ・ナルド《ステパノ伝》をもとにギャラリートークを行い、他の参観者も子どもたちのギャラリートークを参観する。子どもたちが帰ったあと、「子どもギャラリートークの可能性」「美術館と学校の連携」など6つのテーマにわかれてのグループディスカッション。全体会での意見交流、都教委 岩崎治彦指導主事や、近代美術館学芸員の一條氏の講評を受け、内容・密度の充実した都図研と美術館の合同研修会は終了した。

「子どもと図工を考える」Vol.3

図工の「教材(題材)」について考える

s_鷲尾礼子.jpg国立:四小 鷲尾 礼子
seriesのコーナーにまとめました。

編集後記

広報局責任編集者 中尾 公治

s_nakao.gif 越後妻有トリエンナーレ・シンポジウム&鑑賞ツアーは都図研では近来まれな団体ツアーになり、予想を超える53名の会員が参加した。 
 集合場所の池袋芸術劇場前には、出発時間までに全員がそろっていた。稀有なことである。(あたりまえのことか?) 直前まで宿泊施設が改装中で完成していなかったことなど、数々の難問にも根気強く折衝を続けてくれた伊藤agent貴光氏の奮闘に感謝する。2日目の「トリエンナーレ鑑賞」は、トリエンナーレ総合ディレクター北川フラム氏がバスに同乗し、点在する作品の道案内と解説をしてくださると言う超豪華な鑑賞研修になった。 
 研究局の美術館鑑賞研修も参加者の間口を広げるという試みで、充実した内容であったと思うが、広報の取材の手が回らず、細かいニュアンスが伝えられなかった。各地区でも図工部が主体的に夏の研修を展開しているとも聞いている。アンテナの低さ、機動力のなさで、広報紙としての機能を果たしていないことが悔やまれる。しかし、辻会長発案の「子どもと図工を考える」シリーズは、都図研を代表する論客の執筆がこれからも続く。是非熟読してもらいたい。次回10月号の執筆者は内野 務氏。

7月号

大盛況!都図研研修会終わる。

  • 日時  平成18年6月30日(金)
  • 場所  中央区立京橋築地小学校
  • 時程  13:45〜14:30研究授業    
  •     14:45〜15:30実技研修
  •     15:30〜16:45指導・講評
  • 受講者 約70名
  • 講師  岩崎治彦先生(東京都教育庁指導部義務教育心身障害教育指導課) 

 去る6月30日(金)に都図研研修局主催の研修会が行われた。第1部は公開授業、第2部は授業で使用した教材を使っての実技研修、第3部は東京都教育庁の岩崎治彦指導主事による公開授業の指導講評と、盛りだくさんの内容であった。岩崎先生からは、学習指導の解説を交えながら、図画工作科で育てる力についてご指導いただいた。また、公開授業のあとの実技研修では、それぞれの活動場所で参加者が、子どもたちと同じ材料を使って、各授業の授業者の指導のもと、子どもたちと同じ活動を体験した。そこでは、多くの若い世代の先生方の姿がみられた。今後も多くの若い教員の参加を期待したい。

「子どもと図工を考える」Vol.2

図工の子ども観について考える

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新宿:花園小 横内 克之

seriesのコーナーにまとめました。

編集後記

広報局責任編集者 中尾 公治

s_nakao.gif 6月30日 京橋築地小での研修会にはスタッフを含め約100名が参加し、3部構成の濃い内容であった。1部の公開授業と同じ内容を、2部の実技研修で参加者が体験するというユニークな企画だ。今月号では、1・2部のレポートのみで、3部の岩崎指導主事の講演 「資質や能力の育成の重視について」のレポートは、紙面の都合もあり割愛したが、後日 研修局からまとめが出るものと思う。
 Series 「子どもと図工を考える」Vol.2は、前理事長の横内氏の寄稿。若い図工専科にも熟読してもらいたい「深い」内容である。今後も都図研の頭脳ともいえる論客が続々登場する。しかし、紙面の都合で文字数を限定せざるを得ない条件があり、横内氏をはじめ執筆者には充分なスペースを提供できないことが編集側の悩みである。
 次回Vol.3は鷲尾礼子氏の予定。       

6月号

「子ども主義宣言」を解説する

会長 辻 政博

s_tuji_1.gif「子ども主義宣言」プロジェクトは、大きくわけてふたつの動機に基づいています。 
 ひとつは、今日のあまりにも効率主義的な風潮が支配しつつある教育界にあって、子どもという原点に立ち戻りながら、子どもの育ちと図画工作教育のあり方を模索したいという私たちの願いから発したものです。 
 ふたつめは、これまで図画工作を牽引してきた先生方が現場を離れてしまうため、すぐれた指導法や、実践をアーカイブしつつ開発し、次世代の図工教師たちにつないで生きたいという願いです。そして、こうした動機を背景に、次の三つの骨子によって宣言は、成り立っています。

「子どものなかに真実がある」 
「造形表現は、私をつくりだす」 
「造形表現は、強力なコミュニケーション・ツールである」 

「子どものなかに真実がある」とは、まず子どもに随伴する現場の図工教師として、子どもという原点にもどれ、という呼びかけです。「造形表現は、私をつくりだす」とは、子どもが、かたちと色を媒介とした活動をとおして、自分と出会い、自分をつくりあげていく過程を意味しています。「造形表現は、強力なコミュニケーション・ツールである」とは、子どもたちが、かた ちと色を媒介にしたコミュニケーション(通信、伝達、交通、交信)をおこなっているという視点に着眼したものです。これらの宣言をもとに子どもの育ちや図画工作教育について考え、模索していきたいという提案です。

「子どもと図工を考える」Vol.1

「教科」としての図画工作を考える

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会長  辻 政博

seriesのコーナーにまとめました。

編集後記

広報局責任編集者 中尾 公治

s_nakao.gif 都図研Newsでは、研究団体としての都図研の位置やあり方を明確にしていきたいと考えている。今月号も「子ども主義宣言」の解説や、「教科としての図画工作を考える」と題して、図工の基礎的な概念についての原稿を辻会長からいただいた。 
 都図研の「今」と「これから」を共に考える意味で、都図研の考えを今後も継続して掲載する予定だ。そのために、研究・研修会のお知らせやレポートなどの記事が薄くなってくると思うが、配布文書の確認やホームページの利用をお願いしたい。   

4,5月号

会則改正の新たな局面

 都図研の会則改正は、近年では平成15年に一部改正されてから3年を経ている。今回の会則改正の要点は、図工関係管理職を役員として位置づけることを明確にしているところだ。 
 改正の要旨を見ると、会則第4条1.は「本会は、東京都各地区図工研究部に所属する教員及び図工関係管理職をもって組織する。」とし、第5条を「本会に次の役員を置く。顧問及び参与若干名・会長1名・副会長5名以内・会計監査2名・理事長1名・副理事長若干名・ブロック長8名・ブロック運営委員若干名。」としている。今年度は、5条の「顧問」として校長2名、「参与」として副校長10名に役員としての内諾を得ているが、第6条1.に「会長・副会長・理事長は総会において選出する。顧問及び参与は年度当初の理事研究会で承認する。」とあるように、「顧問」「参与」の承認は、5月16日の理事研究会での承認を待つ形だ。さらに第7条1.に「顧問及び参与は、東京都教育委員会等公的機関の主催する研修会の管理運営の責任を負い、会員の研修の機会を確保する。」という条文を新規追加した。 
 この改正に踏み切った複雑な因果関係の解説は、今後の都図研Newsでも取り上げていく予定だが、今や我々をとりまく状況は、都図研が積み上げてきた研究や研修の実績が、伝統的・慣例的に保障されるといった生易しいものではないところにある。 
 今回の改正の最大の要点は「東京都教職員研修センター認定団体登録申請」にかかわる措置として、顧問校長・参与副校長を役員に位置づけたことである。つまり、今後、この認定団体に登録されることで、都図研は公的研究団体と認知され、研究・研修を保障されるという考えに基づいたものである。

退任の挨拶

前会長 鈴石弘之

suzuisi_06051.gif 教職生活三十八年、そのうち都図研に係わったのが三十年余。都図研は創立以来六十年余りですから、歴史の半分を経験したことになります。 
 世代論的な区分で言えば、私は第一世代に引き継ぐ第二世代の後発、遅れてきた青年でもあります。 第一世代の遅れてきた青年であった吹田文明氏が今、世田谷美術館で個展を開催中です。 さて、辻新会長は、第三世代の先頭を切って重い荷物を担っていくことになります。その重い荷物とは、組織や研究・研修の再構築であり、まさに大転換を余儀なくされていることです。 
suzuisi_zz1.jpg 十七年度末に、私は敢えて規約改正を断行しました。都図研のこれまでの実績を踏まえ、自主研修を継続発展させていくためには避けて通れないと判断したからです。規約改正の効果は四月以降の実験的な研修にゆだねられますが、本年度の研究・研修活動が極めて重要な意味をもつことは自明のことです。会員諸氏の結集をお願いします。

とずけん「子ども主義宣言」

 今年度の都図研の新たな事業のひとつとして、特別委員会(高橋 香苗 委員長:足立・大谷田小)を中心にプロジェクトチームを結成。「子ども主義宣言」と題する冊子を、今年12月に刊行すべく準備をすすめている。 

 創設から60年にわたり、常に図画工作の研究に新たな局面を提示してきた都図研であるが、現場教師の立場・視点から、今後の図工教育の重要性や、子どもに対する新たな見方や価値観を、図工教育関係者はもちろん、広く一般にも主張すること。また、現場での「団塊の世代」と、増え続ける「新規採用教員」という現実に横たわる「溝」に着目して、本書のプロジェクトに20歳から30歳前半の教師が多く参加できる研究体制を導入し、中堅やベテランとの共同研究の形をすすめながら、都図研のこれまでの実践のアーカイブ(archive)とその継承をねらいとしている。 
 本書は2部構成になっており、
1部は 

「子ども主義宣言」宣言文、序論 
10の視点による30題材の実践事例 
子ども
教師
教材論

2部は 

インタビュー「先輩・識者に聞く」 
都図研各地区の研究 
図工のキーワード 
コラム 
資料で語る都図研

などの内容を予定しており、都図研の子ども観や実践論、教師論、都図研の歴史と今、そしてこれからを立体的に構成しようとする試みだ。 
 本書は、教育関係資料としての都図研の記録公文書にとどまらず、図画工作が広く一般の理解を得られるような意図をもって作成される。

編集後記

広報局責任編集者 中尾 公治

s_nakao.gif 都図研新体制は多くの課題をかかえて動き出した。新学習指導要領を見通した研究や、「図工の学力」についても実践的な解明を求められてもいる。「子ども主義宣言」刊行にともなう実践や研究の推進。都研修センター選択課題研修への協力と対応など、研究・研修の内容が多岐複雑化の様相を呈する中で、内容や会期の変更なども多々あることと思う。都図研Newsだけでは伝えられる情報は限られている。今後は都図研各局から、直接 都図研ホームページ〈アドレスは都図研Newsロゴの下〉に情報を流してアップすることも試行する予定だ。会員各位もこまめにアクセスして情報確認に努めてほしい。理事研究会での資料なども、確実な配布をお願いしたい。

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